住宅展示場に行きますと、素敵な家々が建ち並んでいます。私は「この素敵さは一体どこから来るものなのか」ということが常に疑問としてありました。展示場にあるモデルハウスは一般的な家に比べて大変に大きいものが多くなっています。このサイズ感にも確かに圧倒されてしまい、素敵さの要素の一つとなっていることでしょう。中に入れば、明るい照明に、高級そうなソファーやテーブルがしつらえてあり、実際に生活すれば必要なタンスや、子供が散らかすおもちゃなどもなくスッキリしていることも、また素敵さの一要因でしょう。
しかし私の考えでは、最も素敵さに貢献しているのは玄関ではないかということです。住宅展示場のモデルハウスはほぼ例外なく玄関が広く、ゆったりしています。家に入るとき、まず目にする玄関、ここが「わあ、広い、何か素敵だ」と感じられ、アパートの窮屈な玄関と対照的な空間に酔いしれ、さらに奥に入ると繰り広げられるであろう居室の素敵さを想像すると胸が高鳴って「この家はきっと素敵に違いない」と感じてしまうのではないかと思うのです。
ですから、私はまずもって玄関は広く作る、しかも住宅展示場のモデルハウス並みに、と思っておりました。
住宅展示場のモデルハウスにはよく設置されている玄関ベンチです。靴を脱ぎ履きするのに便利なだけでなく、買い物帰りの荷物をちょっと置いたり何かと便利です。あるハウスメーカーのモデルハウスに引き出しのついた長いベンチがあり、我が家も真似をしてそれを設置しようと思ったのですが、あまりの高額さに早々諦めました。結局大工さんの造作工事でサイズだけ似たものを作ってもらいました。今はそれでよかったと思っています。
北海道では冬場に雪が降りますが、雪が降っていても傘を差さずにフードを被って外出することも多いです。玄関に入るときは、頭や肩に積もった雪を払い落としてから入るのですが、完全に落としきれませんし、一部は溶けてコートが濡れてしまっています。ですから玄関にそう言った濡れたままのコートを掛けることができるクロークがあると便利です。ついでにベビーカーも結構なサイズですから、玄関の見えるところに置いておきたくはありませんでした。そこで玄関クロークにベビーカーも収納できるようにしました。
しかしながら玄関を広くした結果、クロークまで十分なスペースが取れず、小さなクロークになってしまいました。それでもあるのとないのとでは大違いで、狭さゆえコート同士が接触し、乾かすにはちょっと残念な状況ながら、冬場はしっかり活躍しています。
最初に書きましたように、とにかく玄関は広く作りたいと思いました。以前住んでいたアパートの玄関は大人一人が立てるだけのスペースしかなく、そこに家族の靴がぎゅうぎゅうに並んでおりますから、本当に狭かったです。家族で外出して帰宅すると、一度に玄関に入ることができませんから、順番に靴を脱いで入る、あとの人は玄関扉を開いたままにして、外で待っているという状況です。こうしたことにならないためにも玄関は広く作りたかったのです。
結果として、大人4人が立てるくらいのスペースを確保しました。モデルハウスとまではいきませんでしたが、雨が降った日には数本なら傘を開いたまま干しておけるくらいのスペースはありますので、十分かと思っています。
すぐ上にも書きましたが、靴が玄関に置きっぱなしではせっかくの広い玄関も十分にその機能が果たせません。ベンチを設置した関係もあり、キャビネットタイプのものは置けませんでしたが、土間を上がってすぐのところに天井近くまでの高さがある折れ戸で両開きの靴収納を設けました。収納量はぐっと増えましたが、冬用の長靴やブーツを入れると、思っていたほど余裕はありませんでした。
現在の玄関ドアは、車のキーとほぼ同じ仕様のものがあります。すなわち電子キーをポケットやカバンに入れたまま、玄関ドアのボタンを押すと施錠、解錠ができるのです。これは本当に便利です!たくさんの買い物をして左右の手がふさがっているとき、鍵を探し出し、何とか鍵穴に入れて回す、という一連の動作から完全に解放され、ノンストレスになりました。
私が検討したのはYKK APのヴェナートとLIXILのジエスタですが、YKK APのヴェナートの方を採用しました。理由は、当時のLIXILのジエスタの電気解錠・施錠が電池式であったことが最大の要因です。電池交換は頻繁でなくても、いつかは必ずその時が訪れ、その際にはちょっと苦労するのではないかと考えたためです。電子キーは標準で2本ついていましたので問題はありませんでした。
それからドアの近くに室内用の解・施錠ボタンをオプションで設置しました(下の写真)。玄関の外側には解・施錠ボタンがありますが、内側にはそれがありません。ドアには防犯のため上下2か所にロックがあり、玄関に入って上側を施錠しますと、自動で下側も施錠されます。すると外出時は上下2か所の解錠を手で行わなくてはなりません。先ほどの室内用ボタンというのはボタンを押すと、上下2か所が自動でアンロック状態になり、スムーズに外出できるというものです。「え、それだけ?」と思われた方もいらっしゃると思いますが、想定外のメリットもありました。この室内用ボタンは施錠時に緑色、解錠時に赤色のランプが点灯しています。就寝前、暗い玄関をのぞき、緑色が点灯していることで施錠中であることを確認しています。
広い玄関に対応させるべく、メイン扉の横に小さな扉が付いた親子ドアにしました。機能性よりデザイン性重視のもので、普段は子ドアの方を開くことはありませんが、大きな家具や家電を搬入するときに2枚とも開くことがありました。
外出時の最終身だしなみ点検用としてあったら便利かなと思っていたのですが、これは採用されませんでした。